海辺のカフカ・上

海辺のカフカ (上) (新潮文庫)

海辺のカフカ (上) (新潮文庫)

村上ワールド炸裂です。今までの著作から引き継がれるキーワード:生、死、音楽、心、影、森、井戸、言葉、性。構成は『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』に似ているけれども、二つの関係のないストーリーが交互に展開するストーリーのラストには、きっと融合があるのでは、と期待させます。十代後半、初期作品にどっぷり漬かったゆえの反動か、この十年ほどそっぽを向いてきました。久しぶりに手を伸ばした今、物語世界は彼の変化に比例して、大きくなっているように思います。しばらく前に、次の日本人ノーベル賞受賞は、という話題で名前が挙げられたときにあった違和感が解消されつつあります。いざ下巻へ。