ほん

 久しぶりに本の話

子供が生まれてから初めて家族四人で所謂夜のお出かけをした先は、友人の出版記念パーティでした。このシャーロック・ホームズの新しい物語 "Art in the Blood" は、続編の出版と十五か国語に翻訳が決定しているとのこと。もちろん日本語訳もでますので、皆…

 ナオミ・ヒラハラ二冊:『ガサガサ・ガール』、『スネークスキン・三味線』

とんでもなく私のツボに入った小説でした。推理小説の主人公が、70歳台で日系アメリカ人で庭師、という何だか突拍子もない設定ながら、それがうまく機能している本当に面白い物語です。秀でた推理小説へ贈られるエドガー賞のペイパーバック部門を受賞してい…

 夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです

思春期の出会った初期作品たちから多大な影響を受けた村上春樹のインタビュー集、最高でした。デタッチメントとコミットメント、海外に暮らす日本人の思考など、浮き彫りにされる作者の変遷のそれぞれが腑に落ちて、非常に面白かったです。『ノルウェイの森…

 Little Tokyo Branch Library

ずっと行きたかったLAダウンタウンの図書館へ行ってきました。思っていたよりも日本語書籍、雑誌、DVDが充実していて、どうしてもっと早く来なかったのか!と思うほど。最近、軽く読めて、かつ、ある一線以上の美しい日本語に飢えていたのですが、本を増やし…

  アラン・ケイ トリビュート本

先日70歳の誕生日を迎えた「パソコンの父」ことアラン・ケイのトリビュート本 ”Points of View”が出版されました。彼を良く知る人々が賛辞を寄せています。コンピュータ関係者が多く、私はYo君と結婚していなければ知らない人が多いですが、クインシー・ジョ…

 369会でのテーマ:生涯ベストテン

オレンジ郡での369会という文筆家の皆さまの集まりに、出産後初めてすーを連れてご挨拶に寄せていただくという名目で、少しお邪魔しました。すーがうろうろするのに付き合いながら、遠くで「生涯のベストテン本」というテーマについて話されているのを聞き、…

 利休にたずねよ

第140回直木賞受賞作『利休にたずねよ』は、類まれなる美意識の持ち主というだけではなく、より人間らしい利休像が描き出された小説でした。章によって、利休、宗恩、秀吉、古渓宗陳、織部、三成、ヴァリニャーノなど異なる人間の視点で描かれるのが、相互の…

 十四ヶ月のすーが好きな絵本第一弾

十四ヶ月のすーが好きな絵本の共通点は、字が少ないこと。まずは先月紹介した『もこ もこもこ』繋がりで、元永定正さんの『ころころころ』、『がちゃがちゃ どんどん』、もちろん悠子が薦めてくれた『もけらもけら』も。谷川俊太郎さんの『まり』も大好きで…

  謝らないアメリカ人 すぐ謝る日本人

謝らないアメリカ人 すぐ謝る日本人―生活からビジネスまで、日米を比較する作者: 高木哲也出版社/メーカー: 草思社発売日: 1996/11メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 8回この商品を含むブログ (5件) を見る四半世紀をアメリカで過ごした著者の私生活から…

  ガリヴァー旅行記

ガリヴァー旅行記 (岩波文庫)作者: スウィフト,Jonathan Swift,平井正穂出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1980/10/16メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 35回この商品を含むブログ (50件) を見るガリヴァーといえば、全身を小さな紐と杭で地面に打ちつけら…

 アラン・ケイ

[rakuten:book:10371205:detail] 「コンピューターを機械として扱うのは罪悪だ」という一文に、ドキッとしました。私にとって、コンピューターは機械であり道具であり、それ以外の何物でもありません。コンピューターがまだ非常に大きくとてつもなく高価で、…

 小泉八雲集

小泉八雲集 (新潮文庫)作者: 小泉八雲,上田和夫出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1975/03/18メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 29回この商品を含むブログ (23件) を見る怪談・奇談・日本評論などが閉じ込められた一冊を通じて流れるのは、古きよき失われた日…

 生物と無生物のあいだ

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)作者: 福岡伸一出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/05/18メディア: 新書購入: 56人 クリック: 1,487回この商品を含むブログ (1107件) を見るどうして人間は、海岸で見つけた貝殻と硝子片を見て、一方を生物、もう一…

 宮部みゆき三冊

本所深川ふしぎ草紙 (新潮文庫)作者: 宮部みゆき出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1995/08/30メディア: 文庫 クリック: 37回この商品を含むブログ (78件) を見る初ものがたり (新潮文庫)作者: 宮部みゆき出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1999/08/30メディア: …

 私の履歴書---保守政権の担い手

保守政権の担い手―私の履歴書 (日経ビジネス人文庫)作者: 岸信介,福田赳夫,後藤田正晴,中曽根康弘,田中角栄,河野一郎出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社発売日: 2007/05メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 54回この商品を含むブログ (20件) を見る日経新聞…

 こぐれの家にようこそ

[rakuten:book:11366119:detail] 敬老で軽めの読み物を何冊か借りたうちの一冊で、イラストと写真満載。ページをめくっているうちに終わってしまいました、センスのある人ならではのごちゃごちゃぶりは、私には決して真似できない。年代的なものもあるのか、…

 ファインマンさんの愉快な人生1・2

ファインマンさんの愉快な人生 (1)作者: J・グリック,大貫昌子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1995/10/25メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (3件) を見る浅学ながらリチャード・ファインマン博士のことは全然知らなくて、いや、以前読…

 日本の「死」

[rakuten:book:11341573:detail] 小泉政権初期に書かれたものなので、いささか時代遅れの部分もありながら、日本の方向性を論じている大筋には考えさせられます。米国に住むようになってから、いろいろな意味で軍隊の存在感に驚かされているのですが、そうい…

 茶の間の正義

茶の間の正義 (中公文庫)作者: 山本夏彦出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2003/08/25メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 12回この商品を含むブログ (18件) を見る悪阻のとき、あまりにぎらぎらと切れ味が鋭すぎて、ページをめくることが出来なかった一…

 アメリカ人民の歴史

id:tokyokidさまお薦めの一冊。題名(原題は、”We, the people”)が示すとおり、所謂偉人たちは脇役で、人民の立場からアメリカの歴史が語られています。特に前半部分のダイナミックに国が作られていく描写が興味深いものでした。北部と南部の土地柄からくる…

 続 子どもへのまなざし

続 子どもへのまなざし (福音館の単行本)作者: 佐々木正美,山脇百合子出版社/メーカー: 福音館書店発売日: 2001/02/28メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 19回この商品を含むブログ (18件) を見る児童精神科医による育児書。4-5年前にひょんなことから読ん…

 飛行士たちの話

スタジオジブリの大好きな作品の一つが『紅の豚』。その中に、戦いに敗れて死んだ飛行機乗りたちが、一筋の雲となって天上に上っていくちょっと幻想的な場面があり、それに似た描写がこの短編集に含まれている、と夫が薦めてくれました。ちょっとエキゾチッ…

 村上朝日堂 はいほー

村上朝日堂 はいほー! (新潮文庫)作者: 村上春樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1992/05/29メディア: 文庫 クリック: 27回この商品を含むブログ (54件) を見るうさぎ亭のコロッケとアメリカのレストランのサーフ・アンド・ターフの箇所をずっと読みたかっ…

 本覚坊遺文

本覚坊遺文作者: 井上靖出版社/メーカー: 講談社発売日: 1981/11メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る義母に薦められて読みました。利休の弟子だった本覚坊が、東陽坊、岡部幸雪斎、山上宗二、古田織部、織田有楽、高山右近などとの直接間接の…

 わが心の歌

[rakuten:book:10929521:detail] 帯の「この国にこんなヴァイオリニストがいたのか!」の後半部分が、私にとっては「こんな破天荒な女の人がいたのか!」に変換されるような自伝でした。話題だという<望郷のバラード>のCDを聴いた後に読みすすめると、スト…

 27週検診と”Hatched!”

今月の検査もほぼ順調でした。血糖値検査のために、予約の一時間前にグルコース溶液を飲みます。クリニックの手違いか何かで一時間半後に手を引っぱられて採血され、結果は後日。蛋白が出たので、水を沢山たくさん飲むように指導されました。小児科医をそろ…

 物語 アメリカの歴史

物語アメリカの歴史―超大国の行方 (中公新書)作者: 猿谷要出版社/メーカー: 中央公論社発売日: 1991/10/01メディア: 新書購入: 1人 クリック: 25回この商品を含むブログ (13件) を見る『ニューヨーク』と重複した内容もありつつ、広範に非常に面白く書かれて…

 千家分流

千家分流作者: 井ノ部康之出版社/メーカー: 読売新聞社発売日: 1996/06メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 5回この商品を含むブログ (2件) を見る三代宗旦とその子どもたちへ千家の茶が受け継がれる模様を描いたもの。評判どおりの面白さ、一気一晩で読み…

 後藤田正晴と十二人の総理たち

後藤田正晴と十二人の総理たち―もう鳴らない“ゴット・フォン”作者: 佐々淳行出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2006/06メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 3回この商品を含むブログ (11件) を見る元後藤田副総理の「お別れの会」で献花に立つ歴代総理を通…

 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド

村上春樹作品でも私の気に入り上位をずっと維持し続けている一冊です。読み始めたときは、太った若い女の子17歳より若かったのが、幾度目か分からぬ読了の日に、主人公とこれを書いた著者の年齢35歳を越えました。二つの物語が交差するこの小説は、年齢を重…