メディア・コントロール

チョムスキーでした。『チョムスキー 9.11』を観損ねてからずっと気になっていた人の著作を読むのに、ずいぶんと時間がかかりました。1991年の『メディア・コントロール』、1997年の『火星から来たジャーナリスト--対テロ戦争はどのように報道されるべきか』まで読んで全く理解できず、最後の2002年のインタビュー『根源的な反戦・平和を語る』まで行き着きませんでした。『パレスチナ紛争史』に目を通し、再び一ページ目に戻ったのです。
それでもまだ難解でした。『メディア〜』でいうと、少し似た話が村上春樹の『羊をめぐる冒険』に描写されていたことが思い出されます。今更ながら、小説は現実の鏡でもあるのですね。インタビューの最後のチョムスキーの言をここに引きます。
「この五十年を含む前の世紀には、日本が記憶にとどめておくべきことが数多くあります。何度もいうようですが、他人の犯罪に目をつけるのはたやすい。東京にいて「アメリカ人はなんてひどいことをするんだ」といっているのは簡単です。日本の人たちがいましなければならないのは、東京を見ること、鏡を覗いてみることです。そうなるとそれほど安閑としてはいられないのではないですか。」