Memoirs of a Geisha

Memoir of a Geisha

何ということか、本家ねむりおばけに逆スケッチされる事態を脱したのは、夜でした。食事をして22:55上映のレイトショーへ。
オペラだと思ったほうがよい、という言葉を胸に観たので、アメリカ人が日本を題材に映画化したものとしてはよく出来たほうだと合格点。そもそも原作がアメリカ人によるアメリカンドリーム調で映画化するのにダブルでバイアスがかかっているのですから。花街とはどんなところぞ、と思う外国人には何となくこういうところなのね、と分かってもらえる仕上がりでしょう。実際に祇園を歩く人々の空気が見られなかったのが、残念でした。
惜しいのは所作と着物。靴を脱いで、畳や板敷きとはいえ地べたに座る文化は、今の日本人にもそれほど親しくないでしょうから仕方がないかもしれませんが、戦争前後の花街という設定ならば、もう少し歩き方・お辞儀の仕方など洗練させてもよかったかもしれません。着物もアメリカ人デザイナーが担当したということなので、どこまで勉強されたか不明ながらも、あんなぺらぺらで裾を引きずるお衣装では舞妓ちゃんや芸妓さんが泣きます。髪結いもどこか沖縄チックで不思議。
配役では豆葉役のミシェル・ヨーが美しかったです。舞の海も適材で活躍。私たちにはポイントは不明ながら、工藤夕貴扮するPumpkin(おカボちゃん)が観客から受けを取っていました。チャン・ツイィーは年齢的にちょっと厳しくて、演劇だったらよかったでしょうに。
最後のほうに、一瞬だけ映った現代の白川の風景を懐かしく観ました。