未来をつくった人々--ゼロックス・パロアルト研究所とコンピュータエイジの黎明

未来をつくった人々―ゼロックス・パロアルト研究所とコンピュータエイジの黎明

未来をつくった人々―ゼロックス・パロアルト研究所とコンピュータエイジの黎明

これほどわくわく興奮して読んだノンフィクションは久しぶりです。
日々お世話になっているコンピュータの成立に関わる、主にゼロックスパロアルト研究所(PARC)での動向や人間模様がぎっしりと、アメリカ人らしいユーモアを織り交ぜて描写されています。パーソナルコンピュータの概念を提唱したアラン・ケイの若かりし頃の姿に感銘を受け、人柄に接したことがあるテッドやダンの功績に改めて驚きます。アランが野人と呼ばれていたことには大笑い。それにしても頭のいい人が世の中いっぱいいるのですね。
PARCで膨れ上がった好奇心・技術を商品として世に送り出したのはゼロックスでなかった皮肉、それを受け継いだアップルとマイクロソフトアドビシステムズなど諸々の会社。大きな官僚的組織が時代の波に乗れなかったことは、残すべきものと変革の関係も含み興味深いです。ごった煮の部分もありますが、示唆に富む一冊です。
なお、私の知るアランはいつもHappyオーラを出すマイペースな永遠の少年で、家ではいつもジャージ(冬はふかふかの室内履き愛用)です。料理上手な一面も。テッドはいつも親切な三つ子のパパ、の顔しか知らなかったので、功績を知ってからクリスマスボウリングパーティで会ったときは、ちょっと有名人に会う気分でドキドキしました。夏の結婚式に出席したダンは、アランも一目置く、とは聞いていたものの、その切れるところをとても穏やかな雰囲気で包んでいる人、といった印象。みんな笑顔がとても素敵なナイスガイです。