The Art Institute of Chicago 2

浜田庄司の花瓶

この美術館には二人の日本人建築家の名前を冠した部屋があります。黒川紀章の部屋では建築関係の特別展が開催されているのに対して、安藤忠雄の部屋は日本文化コーナーの奥のイスラム文化コーナーに接した隠れ場所のようなところでした。ガラス戸を押すと16本の柱。その奥に桃山時代常滑信楽の大壺や河井寛次郎魯山人の作品が並びます。手前の壺からゆっくり見ていると、’Yes! Yes, yes!!’ と小さく叫びながら奥の展示に一直線に突進していく初老の男性の姿が。順々に展示物の前を移動してその壺に近づいた私に、「この浜田庄司の花瓶は、1962年に妻が買ったもので去年彼女が亡くなってここに寄贈したんだよ。うちにあるとそれ程良いとも思わなかったんだけど、こうやって飾ってあると良いね。誰かに話したかったんだよ。聞いてくれてありがとう」、と打ち明けるように話してくれました。作品のプレートをよく見ると、寄贈者や遺贈者の名前も書かれているのですね。