Ratatouille

ラタトゥウユ

かつて鼠と一緒に住んでいた身としては、鼠が主人公というだけで、あまりいい気がしないものです。しかも食べ物がテーマなんですよ。
物語自体は王道をいくもので、二時間はあっという間。CGも綺麗で完成度も高いし、多角化経営批判や批評家批判などの風刺も効いていて、大人も楽しめます。ただ、やっぱり主人公が鼠というのが、個人的にどうしてもひっかかるのです。メルヘン、ファンタジーにしか思えない。批判の対象である固定観念にとらわれている人間像そのものだとわかっていても、感情的に嫌なんですね。そうはいいながらも、DVDを買って何度も見直すかもしれません。レミーの料理の才能が羨ましいし、舞台がパリというのもうまい。夫が敬愛するAが絶賛したからには、もっと何かしら深いものが流れる映画なのかもしれません。
鼠といえば、おぼれる舟から鼠が逃げ出すお話がありますね。実際、父が亡くなる前に実家から鼠がいなくなったのです。何かの偶然なのかもしれないけれど、少し空恐ろしい気持ちになったのを思い出します。