ガリヴァー旅行記

ガリヴァー旅行記 (岩波文庫)

ガリヴァー旅行記 (岩波文庫)

ガリヴァーといえば、全身を小さな紐と杭で地面に打ちつけられ、小人達に囲まれた絵本の挿絵を思い出します。しかし、彼は小人国だけではなく、巨人国や馬人国などいろいろと風変わりな国を旅していたのですね。スタジオジブリの『天空の城ラピュタ』の元ねたとなった飛ぶ島もこの本が出所です。童話のイメージと全く異なり、過激な人間批判が随所に現れ、特に最後のフウイヌム国渡航記は、その舌鋒の鋭さにくらくらするほど。書かれた18世紀前半のイギリスでは、まだ日本も不思議の国だったようで、これらの冒険談の一部を占めているのが面白いものです。平井正穂さんの訳文が渋い。