すべてがFになる

haruko412005-04-07

すべてがFになる (講談社文庫)
苦手です。一日気持ちが悪くなりました。続きを読むとねたばれします。


超天才科学者は、天才ゆえに子供を殺して手足を切断するのでしょうか。天才はそういうものなのでしょうか。
トリックはきっと面白いのだと思います。仮想現実のところも楽しかった。でも、14歳で叔父と結ばれて身ごもる、その叔父が天才少女の握り締めたナイフを上から掴んで、彼女の両親、彼の実の兄と義姉を刺し殺す。そしてその罪を少女に擦り付けて、自分は15年ものうのうと妻と生活をする。この人は狂っていると思います。
「天才」という存在は魅力的でしょう。でも、この小説の設定には無理があるような気がしてなりません。ページ数が増えてもよいから、それぞれの状況や気持ちの描写が丁寧であれば、これほど嫌悪感を抱かなかったかもしれません。種明かしのときに同席していた叔父の妻には深く同情します。
私は理系の人間ではありませんし、そのせいか主人公二人にあまり共感を覚えなかったのが大きいのかしら。大学の構造などについての描写には笑いました。結構多くの人がそう思っているのでしょう。