黄檗山萬福寺

隠元禅師が開山された黄檗宗大本山です。お坊さんが一時間ほどかけてご説明くださいました。中国様式の伽藍がとても整然として幾何学的。

三門を入るとまず見えるのが、天王殿です。こちらにいらっしゃるのが大きな口の布袋さん、なのですが、中国では布袋さんは弥勒菩薩なのだそうです。三門に入るとき清めたはずの体にまだ残っている穢れや煩悩をその大きな口で吸い込んでくださいます。

弥勒菩薩と背を合わせて、本堂を向いて韋駄天もいるそうです。足の速い韋駄天は、ご本尊に何かあったときにすぐさま駆けつけることができるように、と待機しているのです。日本のお寺だと韋駄天は庫裏にいらっしゃるそうで、皆が寝静まった間に食料を調達してきてくださるのだとか。食事の後に、「ご馳走さまでした」というのは、こういうところからきているのですって。
本堂である大雄宝殿(だいおうほうでん)に回ると、ご本尊の釈迦如来座像が。十八羅漢の中には、お釈迦さまの実子である方もいらっしゃいます。生来の性格と王子としてのわがままな育ち振りをみて、お釈迦さまが仏門にお入れになったのですが、実父でもあるお釈迦さまの教えを得るのに、本当に苦労なさったそうです。見目も麗しくなかったそうで、どんな外見のものでも皆の心の中にも仏がいるのだ、と、その像は、自分の胸を広げて、その中に仏がいることを示している、というのです。何とも痛ましく心打たれるお話だと思いました。

これはかいぱんといって木魚の元だそうです。もっと色鮮やかなこんな魚を韓国のお寺で観たなあ、と懐かしく思い出しました。韓国のお寺の華やかさにとても驚いていましたが、日本でも華やかだったのを剥げたままにしてあるところがある、と知ったのは、大分後のことでした。
上のほうの写真は、三門入って左の開山堂、こちらに隠元禅師をおまつりしているのだそうです。
萬福寺といえば、普茶料理も有名です。ごま油を上手に使った精進料理で天ぷらにはきちんと味付けがされています。一番印象に残ったのは、こんにゃくのお稲荷さん。歯ざわりといい、何とも言えません。