微光のなかの宇宙

微光のなかの宇宙―私の美術観 (中公文庫)

微光のなかの宇宙―私の美術観 (中公文庫)

かつて美術欄担当記者でもあった司馬遼太郎が、ゴッホ空海密教美術、八大山人から、八木一夫三岸節子にいたるまでを語っています。いつものことながら、彼が腑分けをしてみせるそれぞれにすごいなあ、と圧倒されるのです。洋行帰りの三岸節子によるという「日本は水蒸気の国である」という言葉、毎日を日本とは違う光線にさらされて過ごしている私には、本当に身に沁みます。司馬遼太郎によって集結させられた芸術バカ一代たちの殆どを、私は知らず、また心してあちこちを歩くことだ、と思い知らされたことでした。