戦雲の夢

戦雲の夢 (講談社文庫)

戦雲の夢 (講談社文庫)

運に見放された戦国時代の名将 長曽我部盛親についての物語です。地味な対象がややぎこちない筆致で書かれており、文章に乗るまで司馬作品には珍しく、くじけそうになりました。それもそのはず、巻末の年譜によると直木賞を受賞した37歳(1960年)に発表されたものだということでした。所謂、司馬節/司馬史観がこれから花開くといった時期、とでもいうのでしょうか。直木賞受賞作の『梟の城』もいつか読んでみたいものです。