講演「茶道と禅」とデモンストレーション

isamu noguchi on JACCC

ロサンゼルス支部主催のレクチャーシリーズ・パート2がJapanese American Cultural Communication Center(JACCC)にて開催されました。入口の階段を少し上がると、第二次世界大戦朝鮮戦争ベトナム戦争での死亡または行方不明になられた日系アメリカ人の記念碑がありました。朝鮮戦争のところには、多くは第二次世界大戦中に収容所に入っていた人たちが、見も知らぬ人々の自由のために犠牲になったのだ、という添え書きが。奥の広場にはイサム・ノグチの石の彫刻が堂々と文字どおりそびえ、只ならぬオーラを発散していました。(JACCC: http://www.jaccc.org/index.htm)
Dr. Glenn T. Webbによる講演は、興味深いものでした。フルブライトで6年間京都大学に学び、日本では佛教大学で教鞭をとっていた博士は、ご家族とともに茶道と禅の修業に40年励まれ今なお修行中である、とおっしゃいます。大乗仏教の中の三つの流れ(密教・浄土・禅)を分かりやすく解きながら、キリスト教との違いを述べ、彼自身の禅の修業と茶道の稽古のこと、そこから学んだことをお話になりました。茶道と禅が日本人だけのものではなく、世界にとって貴重な贈り物ではなかろうか、という締めくくり。五月のセミナーでは茶道は宗教ではない、と教えていただきましたとおり、宗教の枠を超えて、聴衆の胸に届けばよいなあ、と思いました。
引き続き、春秋棚を使い立礼(りゅうれい)でのデモンストレーションで正客役をいたしました。立礼というのは椅子席のお点前で、外国人のために十一代玄々斎が考案されたものです。春秋棚は十四代淡々斎お好み御園棚の前板透かし部分が銀杏になっているもので、鵬雲斎大宗匠のお好みです。お軸は「一華開五葉(いっかごようをひらく)」。旧暦ということで、お花は桃、香合の代わりに木彫のお雛さまが京雛の置き方で飾ってありました。その後のお呈茶では先週下ごしらえをしたお菓子が登場。少し手伝ったせいか、非常に愛着がわきます。可愛いでしょう。