ナンシー関を二冊

かつての愛読誌「週刊文春」に「テレビ消灯時間」というテレビ番組についてのコラム連載がありました。取り上げられている番組と私の見るものにギャップがあり、あまり目を通すことはなかったものの消しゴム版画の人がいる、という印象だけは残っていました。ナンシーなのに何故か男性と思い込んでいたことは文章の鋭さゆえでしょうか。我ながらよくわかりません。

耳部長 (朝日文庫)

耳部長 (朝日文庫)

ナンシー関のボン研究所 (角川文庫)

ナンシー関のボン研究所 (角川文庫)

今回改めて、「週刊朝日」に連載されていたコラム集『耳部長』と彼女の公式ホームページでのコラムをまとめた『ナンシー関ボン研究所』を読み、まるで職人のような人物描写に驚きました。
『耳部長』では、その対象となっている主に芸能界の住人たちをばっさばっさとなぎ倒していきます。ある時は共感と痛快さが心地よく、ある時は新しい視点に気づかされてなるほどね〜、と納得させられるといった具合。後者は、熱心な読者との交流を楽しむ様子がよくわかります。2002年になったところで、これは亡くなった年ではないのか、とぞわぞわとしながら読みました。5月1日の最後のコラムでも平常どおりで、まさか一ヵ月後にタクシーの中で倒れ、虚血性心不全で息を引き取ることになるなど、考えてもいなかったことでしょう。
今も生きていらしたら、同時に複数のテレビ録画を走らせつつどんなコラムを書かれていたかしら、もっと広範な分野に意見を述べられていたかも、と思うと、享年39歳は早すぎます。ナンシー関ボン研究所URLはこちら。http://www.bonken.co.jp/