不思議の国のアリス

不思議の国のアリス (新潮文庫)

不思議の国のアリス (新潮文庫)

1865年に、数学者および論理学者のルイス・キャロルによって書かれたという『不思議の国のアリス』。150年近く経つというのに、その小説世界は全く古びません。一冊10セントのワゴンであまりにも有名なお話を手に取ったわけは、ディズニーの絵本ではないオリジナルを読んだことがないのでは、と思ったから。断片的にあるウサギのお使い、トランプの家来たち。体が大きくなったり小さくなったりしながらも、常識を疑う地底のワンダーランドに対処していく幼いアリス。たとえそれが全部午睡の泡だったとしても、ワクワクドキドキ感は一つも萎まず、それぞれの胸の中に納まっていくのではないかしら、と思ったことでした。訳者の解説のとおり、ジャムの瓶をつかめるくらいのゆっくり加減で落ちていく、というところが肝ですよね。金子国義の挿絵も秀逸。