―墨蹟と古筆― 書の美

畠山記念館

義母と白金台の畠山記念館へ参りました。もともとは薩摩藩島津重豪(しげひで)隠棲の地だったものが、明治維新後、伯爵寺島宗則、昭和になってから荏原製作所の創業者でもある畠山一清の手に渡りました。記念館本館は、能登国主畠山家の末裔で数寄者としても名を馳せた創立者本人が設計・監督したとのことで、展示室では四畳半の茶室と手入れされた茶庭が見られます。
今回の展示の目玉は国宝指定の離洛帖、三跡の一人たる藤原佐理(すけまさ)によるものです。書をたしなむ義母がよく解説してくださいました。その時はどうもよく分からなかったのが、後になっても気になるというところが、その手紙の持つパワーを表すのでしょうか。他に気に入ったのは流れるようなかな文字の方で、同じく三跡といわれる藤原行成による関戸本古今集断簡は、何ともいえない優美さが素晴らしかったです。
茶道具展示では、唐物肩付茶入 銘日野とそれについていた三種類の蓋の様子が面白かったです。野々村仁清の焼き方が景色よく付けられていました。大振りの砂張棗についていたしふくの一つは古渡罌粟(けし)模様更紗、これがとてもポップで興味深かったです。
展示室の一角でお抹茶をいただき、ほっこりとした時間が嬉しいものでした。コレクションは膨大なもののようなので、近所ですから帰国のたびに訪ねてみようと思います。