最近読んだ本たち

朱夏〈上〉 (集英社文庫)

朱夏〈上〉 (集英社文庫)

朱夏〈下〉 (集英社文庫)

朱夏〈下〉 (集英社文庫)

仁淀川 (新潮文庫)

仁淀川 (新潮文庫)

宮尾登美子さんの作品は、ページを開くとちょっとやそっとでは途中で置くことのできない魅力に溢れていて、活字好きとしては何とも嬉しい気持ちにさせられます。ただし、『朱夏』『仁淀川』は『櫂』に代表される自伝ものであるせいか、これでもかというほど冷静に、ある種加虐的とも思えるほどに主人公が描写されています。作者が我が身を抉る思いで書いたことが伝わり、それが自分にも突きつけられるようで正直言って読むのが辛いことでした。創作物の『きのね』でも、主人公に対する視線が槍のように鋭いことには違いなく、それを補って余りある、物語の展開と深いところに流れる作者の気概がなければ、読み通せたかどうか心許ありません。
赤い人 (講談社文庫)

赤い人 (講談社文庫)

明治14年から始まった北海道開拓における囚人たちの働きについての物語。ぱらぱらめくると陰惨な場面が目に飛び込んできたりして、躊躇したのですが、北海道開拓については、村上春樹の『羊をめぐる冒険』で触れられていたくらいしか知らなかったので、思い切って先月のNY行きの飛行機で読み始めました。目を背けたくなるような描写もあるのですが、歴史的背景を織り交ぜ、ノンフィクションかと思えるほどの詳細な記述と内容に引き込まれ、その日のうちに読みきってしまうほどでした。作者は先月末に亡くなられた吉村昭さん。ご冥福をお祈りいたします。
ハーレムの熱い日々 (講談社文庫)

ハーレムの熱い日々 (講談社文庫)

今月のハーレム滞在に向けて、従姉から貸していただいた一冊です。今は、クリントン前大統領のオフィスが入ったり、いろんな人種が住み始めているハーレム。今とは全く違う環境だったという40年以上前にハーレムに魅せられ、そこに住む人々の写真を撮り始めたという著者によるエッセイと写真は、ここで言葉で伝えようとしてもうまくいかないような気がするので、興味のある方はご自分の手にとってみてください。彼女自身のまっすぐな目と1960年代のニューヨークに一人で生き延びた強さが印象的でした。
夜ごとの揺り篭、舟、あるいは戦場 (講談社文庫)

夜ごとの揺り篭、舟、あるいは戦場 (講談社文庫)

美智子皇后 (講談社文庫)

美智子皇后 (講談社文庫)