Metropolitan Museum of Art

目当ては、以前訪ねた1993年9月には閉鎖中で心残りだった日本美術コーナー。書院には狩野派(たぶん探幽)の三組の掛軸がかけられ、俵屋宗達尾形乾山酒井抱一はじめ琳派の作品が所狭しと飾られています。一点だけあったイサム・ノグチの作品も光っていたし、現代作家による茶道具の展示も少数ながら見ごたえがありました。作品札に表示されている<最近収蔵しました>という文字から、どんどん収蔵品を増やしている様子が窺えます。監視のおじさまによると三ヶ月に一度展示替えをするそうで、それだけの収蔵品があるということ、さすが全米一の美術館だけあるなあ、と感激でした。

American WingにFrank Lloyd Wrightコーナーがあったのも、思いがけない収穫。最近とみに気になる帝国ホテルの一部が展示されていました。ぼろぼろになってマヤの遺跡みたいです。奥は復元された部屋。中央に何も置かないインテリアの配置が、当時は新しかったとか。

昼食をとった開放的なAmerican Wing Cafeも素敵でした。隣接するCourt Yardから燦燦と陽が入り、窓は殆どがガラスで開放的な景色で、とても気持ちが良い空間。

その近くにあった甲冑コーナーでは、別々に展示されていたイタリアのライオン型と日本の巻貝型の冑にご注目ください。お国柄が一目瞭然でしょう。
 
一番人気だと思われたのは、印象派を含む近代のエリアでした。最近気になるのは、肌色の表現が何とも美しいルノアールの人物画。亡祖父宅を思い出す一品もあり嬉しかったです。先月シカゴで見たスーラの’A Sunday at La Grande Jatte’の十分の一ほどの習作にも出会いました。シカゴのは画中の人が私の1.5倍はあろうかという迫力だったのを考えると、段階を踏んで大作に取り組んだということがよく分かります。

非常に大きな美術館で、一日ではとてもまわることができませんでした。従姉によるとエジプトコーナーにはスフィンクスがいるそうですし、次の機会に期待です。入館料の20ドルは推奨料金で1ドルでも大丈夫らしいということもメモしておきます。