昭和史、昭和史戦後編

文藝春秋の編集長が私と同年代の編集者たちに語り聞かせたものをまとめただけあり、現在に繋がる昭和史が、非常に分かりやすく説明されています。著者による「四十年史観;約40年ごとに変化する近現代の日本」論はなるほどと思わせるもので、明治維新後の新近代国家興隆から日露戦争に勝った後うぬぼれて国際的に孤立した40年、第二次世界大戦へひっぱった軍部の増大と敗戦までの40年、占領期が終わり独立した1952年から高度成長の時期を経てバブル崩壊前年までの40年、となり、現在はバブル崩壊以後新たな40年の前半部にあたるといいます。
非常に沢山の新たな事柄を知ったので、まだうまく整理がつきません。ただ言えるのは戦争とは嫌なものだということです。小学校の頃から、夏になると身にしみるほど反戦教育されたことが蘇ってきました。平和憲法の意味についても考えてみたいと思います。また、敗戦後の占領政策で日本の過去をひどく否定されて、誇りを大きく損ねざるを得なかったのが、今のちょっと頼りない感じの最近の日本に繋がっているように感じました。忘れてはいけないのは、単に軍部が暴走して第二次世界大戦に突入したのではなく、マスコミや一般の人びともそれを後押ししたことでしょう。
今の日本は「どういう国にするのかという国家目標もなく浮遊しているようでまた滅びの40年にかかっているのではないか。」という著者の問いには、もしかしてそうかもしれないし、苦労して戦後復興してきた先人たちの努力を無駄にしないようにしなくては、と思います。未来を拓くためには過去を知ることが不可欠であり、そういった意味でも60年安保締結以前に、いくつかあった国家像の選択肢から、現在の軽武装・通商貿易国家、経済第一の国という選択をした、ということは肝に銘じておくべきだろうと思いました。
多くの方に読んでいただきたい良書。二冊ともお借りしたのは、戦後に幼少の時期を過ごされ、目覚しい高度成長に関わってこられた世代の方です。改めて親や祖父母にも感謝したいと思います。