第62回正倉院展

奈良国立博物館で開催中の正倉院展は、素晴らしかったです。アメリカの博物館ではシルクロードの終着点は中国だという表記を目にしますが、正倉院のことはもっと知られて良いと思います。特に十九年ぶりに公開された今回の目玉たる螺鈿紫檀五絃琵琶(らでんしたんのごげんびわ)は、保存状態が滅法良く本当に見事なものでした。また1250年ほど前の税申告書なども綺麗に残っており、生活ぶりがうかがえ興味深く読みましたし、聖武天皇の奥さまの光明皇后が一字一字丁寧に写経された瑜伽師地論(ゆがしじろん)にも感銘を受けました。夕方四時半というおそがけに訪ねたにも関わらず、遷都1300年キャンペーン中の行楽日和の祝日ということで非常な人が訪れており、入り口で20分待ち、琵琶を最前列で見るために30分待ちという状況でした。その混雑の中、母が子供たちと留守番してくれたので、この機会にしっかり見ないと、とイヤホンガイドを片手にじっくり見てまわり、帰路頭痛がするほどくたくたになりましたが、一人でいろいろ考えながらじわじわと美しいものを見て、生き返ったような気分になりました。ありがとうございました。