和菓子の京都

和菓子の京都 (岩波新書)

和菓子の京都 (岩波新書)

京都で粽といえば川端道喜さん、道喜さんといえば粽、というほどの名店のたぶん先代が書かれた本です。応仁の乱後の創業から、皇室とともに、遷都してからは茶の湯とともに歩んだという歴史や菓子の歳時記などを中心に、京都の伝統を担っているのだという自負心を感じさせる一冊。学生時代に一度目を通したはずなのに、おぼろげにしか内容を覚えておらず再び頷きながら読み進めました。初版発行は1990年4月、著者は同じ年の7月に世を去られているわけで、遺言のような趣もあります。歴史的に誤った道に進まないためにも、生活のゆとり、自分の生活を大事に豊かにしていくということが大切であるという指摘や、茶の湯の形式を踏むことによって何か常にない時間を持ち、ひいては自分を見つめなおせる、といった部分は大いに同意しました。
とここまで書いてきて告白すると、まだ道喜さんの粽をいただいたことがない(はず)なのです。今まで何度もお店の前を通り、百貨店でも見かけたことがあるのに、どうしても踏み切れなくて。いつか実現したいことの一つですね。