松風の家 上・下

松風の家 上 (文春文庫)

松風の家 上 (文春文庫)

松風の家 下 (文春文庫)

松風の家 下 (文春文庫)

宮尾登美子は、私にとって危険な作家だと知っていたのにまた!語り口に引きずり込まれ、ページを繰って次へ次へと進んでしまいたくなるのです。『櫂』、『一弦の琴』、『序の舞』、『朱夏』。この『松風の家』にしたって随分前とはいえ一度読んでいるのですから、あらすじは知っているというのに、夜空が白む頃までやめることが出来ませんでした。現存のお家をモデルにしているだけあって、創作とわかっていても細かい部分が興味深いのです。伝統を次の世代に繋いでいく人たちのドラマ。それぞれの人物の書き分けの妙。小説の中での後の伴家が末永く興隆することを願ってやまない読後感でした。