二つの祖国
- 作者: 山崎豊子
- 出版社/メーカー: 新潮社
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著者は日系人への迫害だけにとどまらず、多くの移民たちの出身地の一つである広島に原爆を落とされたことを物語に取り入れることによって、より悲惨な状況を浮き彫りにします。広島もまた当時祖母たちが川向に住んでおり、その状況を問わず語りに聞かされた町でもあります。さらに、主人公のケーンがモニターを務めた東京裁判の経緯はどこまでが史実に基づいているのか、浅学の私にはわかりませんがもう少し折を見て知っていきたいと思います。
タイトルが表すとおり『二つの祖国』を持つ者の戦争状態における苦悩。そして人間の愚かさをこれでもかと告発するような著者の口調はときに饒舌すぎるようにも思えますが、アメリカに住む日本人として読んでおくべき一冊であるでしょう。貸してくださったYさんに感謝いたします。